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2010年9月25日土曜日

未来に生きる街in康楽館

今日わ!つよしです。

昨日、秋田県小坂町のある康楽館という現役で日本最古の芝居小屋で“未来に生きる街”の公演をやってきました。

公演当日の康楽館正面(未来の看板が立ってます)



この公演はアジア国際環境フォーラムの一環で行われた公演です。フォーラム自体は小坂町のお隣の大館市で行われていた様ですが、JRでこの公演のためにツアーを組んでくれたり地元の小坂の方々は格安料金で観劇できたりと色々な準備をされてきての公演でした。

沢山のお客様に暖かく観て頂き、普段使う事のない花道や客席の通路を使ったりと演出も今までとがらりと変わり康楽館バージョンの未来でした。

さて、公演の様子はこのくらいにして、公演の前の日から小坂町にお邪魔して "未来" の舞台になった小坂製錬所をここでずっと働いておられた尾樽部さんに施設内を案内して頂きました。 尾樽部?・・・どこかで聞いた名前でしょう? そうです、鋭い人はあっ、あの人のお父さん?って思ったのではないかな! そう! 現在ミュージカルアトムでアズリを演じている尾樽部君のお父さんでございます。

一つの作品を掘り下げて行くには、こういう体験はとっても貴重な物です。ありがたかったです。



正面に小さく見えているのが自溶炉と言う物で掘った鉱石を溶かして金属を取り出すための施設だそうです。

何故、自溶炉というのかと言いますと、鉱石を炉に入れて触媒を入れると後は鉱石の熱で鉱石が自分で勝手に溶けていってくれるので自溶炉というそうな。

"未来"の中では、100年前に編み出した黒鉱自溶精錬法・・・と歌われています。



これは、小坂鉱山を上から見た所で、真ん中に見えるのが製錬所。そして、その両側に小高い山のようになって写っているのがカラミと呼ばれる、掘り出した鉱石の鉱物を取り出した後の残り物が堆積してできた山です。

舞台では"カラミの山"とジュンのおばあちゃんの台詞の中に出て来ます。

こういう所にどんどん木の苗や種を蒔いて禿げ山になった緑を再生させていっているんですね。

写真に写っている周りの山々は以前殆どが禿げ山だったそうです。

さて、こうして案内して頂いた後に夕方から康楽館の仕込みです。

国の重要文化財に登録されている建物ですので、傷をつけないように、他の劇団の方の常設公演中ですので、セットに触らないようになど気を使いながらの仕込みです。

写真は今年で100年を迎える康楽館です。舞台から客席を見た所です。天井など洋風な作りですが、下には桟敷席があって畳敷き。趣があります。



セットを組み上げると康楽館の舞台はこんな感じになりました!



康楽館は歌舞伎などにもよく使われている芝居小屋です。色んな仕掛けがあります。

まず、回り舞台です。ここは奈落の下の回り舞台の支えです。



左側の石組みの上に滑車が載っていてその上をレールが走っています。そして、センターに回り舞台の梁からぶら下がっている棒が見えますね。これが全部で4本有るのですが、これを4人で押して舞台を回すように出来ています。今でも、人力で回すそうです。



回り舞台の奥に不思議な階段が・・・・???のぼっても舞台の床に阻まれ、周りも地面から建物を支える柱や骨組みが縦横に走っていてどこにも行けない!!! これはもしかして・・・行かずの・・・・・  キャーーーーーー!!!

結局なんだか分かりませんでした。興味の有る方は康楽館で職員の方に直接聞いてみて下さい!



さて、もうひとつの舞台機構 "スッポン"です。

これも今でも人の手で動かしているそうです。

公演前に実行委員会会長のDOWAホールディングの会長さんがスッポンをつかって登場してお客さんを湧かせていました。



次は花道

今回はこの花道を使っての演出もありました。

カズが歌舞伎に出てくれとジュンに頼んで引っ込むシーンでは、七三でカズがとまってあるポーズを取ると、お客さん爆笑!どんなポーズかって?それは秘密!



ここは、音響席です。何故ここを紹介しているのか?理由があるのです。



実はこの席、臨検席といいまして公演や映画の上映中に役者や弁士が不適切な言動をしないか、警察が上演中ずっと監督をする席だったそうです。音響さんの横に額がかかっていましてそれに説明が付いていました。それが下の写真です。



公演当日は桟敷に座布団が敷き詰められて雰囲気がまたぐっと盛り上がって来ました。



座布団はこんな感じです。



奇麗ですね。



館内には提灯が下がっているのですが一個一個どなたから贈られた物なのか名前が入っています。こんなのもありました。



人間だけではなく、動物からも康楽館は愛されているんですね。

公演リポートではなく、康楽館リポートになってしまっていますが、まっいいか!

康楽館ではスタッフさんが館内の案内をしたり、お芝居の中でのキの音(歌舞伎などでチョーン・チョーン・チョーン・チョン・チョン・チョン・・・・・と鳴る音)を担当したりしています。



キの鳴らし方も教えていただきました。

康楽館のキはこんなキでした。



康楽館の名前が入っています。

優しいスタッフさんと、気持ちのいいお客様に支えられて康楽館の公演は無事に終了しました。康楽館の皆さん。小坂町の皆さん。環境フォーラムを準備して下さった皆さん。そして、公演を観に来て下さった皆さん。本当にありがとうございました。

最後に、鉱山事務所(これも重要文化財!)の前で撮りました私、組合長の写真で "未来に生きる街"のリポートいや!康楽館リポート終わらせて頂きます。

長いリポートを堪能・・・・お、お付き合いいただきまして誠にありがとうございました!



イエーイ!