夕方には舟に乗って帰らなくはならない。
家では具合の悪い母さんに変わって家の手伝い、弟・妹の面倒、飯炊き、掃除、洗濯、そしておっ父の手伝いがある。
大変だけど、苦にしないカモメ。
「みんなが喜ぶと腹の底からドーンと力が湧く。」
そんな底ぬけの明るさが、鶴には眩しく、そして励まされいるのだ。
「寂しくなるなー」と鶴。
するとカモメは、「それはどうかね、クロタカ様がおられるから大丈夫でしょう、二人お似合いだ!
めおとになったらいいのなぁ・・・」
鶴はドキマギ、反対にカモメはどうかと聞く。
「まだまだ弟妹の面倒をみなくちゃいけない、嫁など行けない。でも翼は欲しいなぁ。」
二人は翼のない鶴とカモメ。
(しかしこっちのほうが歌がうまーい)
翼があればどこへでもいける。
青い風にのり、いつでも会いにいける。
大空に翼を広げ思いっきり飛びたい・・・。
心の翼はためかせ、空へのあこがれを姉妹のように歌いかわす二人なのです。

さて、劇場入りの日、舞台を見てみんなからワァーと歓声が起こる。
舞台セットが出来上がっているのです。
セットは波であり、海でもあり、船にもなる。
袖は屋敷でもあり、空が広がり雲も浮かんでくる。
素敵だ。夢がわく。
さて、このセットを舞台衣装を着て、各場面出遅れなくセッティング出来るかが問題なのです。
秋田での稽古のとき、シュミレーションはしていたがやはり出来ない箇所があり、誰に変わって貰うかが一苦労。
そして、楽屋では早着替えを手伝ったりして、各場面のセッティング、場当たり稽古は一応OKになる。
久しぶりにスポットライトも浴びて、いい気持ち。
そうそう、次の日からはメイクもして各場面ごとに通す。
4月4日の初日を目前に控えた様子でした。
(今は6月、もう2ヶ月も経ったんだなぁ)