安房「兄上、何事ですか?秋の月見ですか?」と問う。
違うのだ。
10年ほど前、父上が息を引き取られる前に言われた御遺言、『鶴は龍神の申し子だ。そして鎧をあつらえよ』と。
だから今、こうして鶴の鎧を持って来たのだ。
父の遺言・・・この事は、鶴の兄・安舎だけに語っていたのだ。
初めて明かされる事実に、安房も鶴も驚きを隠せない。
(だが鶴は、龍神と出会った事は夢ではなかった。密かな思いが今ここに出てきた)
何故今なのか、安舎はいう。
「父上亡き後も、すぐにはつくらなかった。しかし鶴の成長ぶり、そして今の乱れた世の中をみて、つくる決心をしたのだ。そこにクロタカの伝令、周防の大内義隆が伊予に攻めこんだとの事。いよいよ、陸の争いが海にまで広がってきた。今治に母・妙林がいる。無事だが、見舞いに鶴供にクロタカが行く事になる。」
ここから物語は展開していくのです。

さぁ、初日会場は満杯。
坊っちゃん劇場第4作目が、法螺貝の音と共に幕が開く。
この緊張感がたまらない。多分お客様も同じだろう。
スタッフ陣はどんな気持ちか。自立した子供を旅立たせる心境なのだろうか。
果たして公演はどうだったか・・・。
見送りに出たら、お客様が目を赤く腫らして出てきて下さっている。
兎に角、幕が上がった。
前作、「龍馬!」に負けないよう、これからはみんなで前へ進むのみ!
健康第一で乗り越えて行く気持ちでいっぱいだった。